第6回 地球シミュレータ シンポジウム

第6回 地球シミュレータ シンポジウムLink に参加(興味本位で見に行っただけ)してきました。きっかけはこのブログの最初の話Link 、科学未来館で地球シミュレータを知ったことでして、見学会でもやってくれないかなと思ってHPをチェックしていたら今回のシンポジウムを知ることに。最初はシンポジウムが平日だったということで諦め、代わりに降着円盤の話Link を聞きに行ったわけですが、結局休暇を取ってシンポジウムも聞きに行きました。科学未来館といい、どうもこの時期は休暇を取ってでもこういうのに行きたくなるらしい。

平日開催ということをもうちょっと考慮すべきでした。参加者はほどんどスーツ着用でして、私のような普段着は1割くらい。最初は気後れしましたが、まぁ来てしまったものはしょうがない。

前回までは地球シミュレータを使用していた外部研究機関による発表会だったらしいのですが、今回は全て管理団体である地球シミュレータセンターの職員による発表。そのため朝から聞くと、7名でストーリー立てて現状の成果とこれからの活動を話すというものでした。

まず現状は気象の予測に関してはかなり精度が出ているとのこと。12時間先までの計算ならまず外さない、台風の進路予測やそれによる雨の降る場所など実際とかなり一致するそうです。が、12時間以上となると外れが出てくる。

次の課題は数日〜1年先の予測をどうするか。こうなると話は一気に複雑となり、簡単に考えても以下のことを考慮する必要が出てくるとか。
  • 太陽
    • 季節による日照時間
    • 昼と夜
    • 雲による日光のさえぎり
    • 雪や氷による反射(地球を暖めない)
  • 空気
    • 暖められると上昇し元あった場所の気圧が下がる。逆に冷えると下降して気圧が上がる。
    • 海水の蒸発で冷却、水蒸気が雨になることで加熱
    • 空気は太陽光から直接ではなく、地上の熱で暖まる。よって地形に影響される。
    • 風が吹くと蒸発しやすい
    • 海流は地形に影響される。計算の精度が荒いと、島など微小な障害物の影響が無視されたりする。
    • 塩分濃度は雨が降ったり河に近いと薄くなり、凍ったり蒸発すると濃くなる。これにより海水の比重が変わり、塩分濃度の高い海水は下に沈む。

これだけでも十分ややこしいし、とてつもない計算量になると思う。しかし数年とかさらに長期の予測となると、温室効果ガス、雨の降りやすい雲と降り難い雲(空気が汚すぎると雨が降らなくなる)、さらには太陽の活発さや太陽系の銀河系における位置まで影響してくる(宇宙線が降水に影響する)可能性が(しないかもしれないw)。

厄介なことにこれら長期予測で考慮しないといけないことの多く(上の3つなら、最低でも後者2つ)は分子・原子レベルの解析・シミュレートをしないと正確な予測に結びつかない。しかも複数の要素が互いに影響しあっている場合が多い。気の遠くなる複雑なお話。

もっとも手堅いのは考えられる全原子一個一個をシミュレートすることだけど、原子一個分の情報を記録するメモリーだけでも何万個もの原子が必要なので、地球の全原子シミュレート分のメモリーだけでも地球の何万・何億倍ものサイズになり、これは絶対無理。なので、このような原子レベルから宇宙からの影響までを考えたシミュレート(連結階層シミュレーションと呼ぶそうです)のためには、必要なところだけ原子レベルで後は荒っぽくというやり方になり、どこを荒っぽくできるのかというのを見つけるのが、これからの課題だそうです。

なんか、地球シミュレータの宣伝っぽくなりましたが、別に回し者じゃありませんので・・・

あと発表者は結構Mac使用してますね。デザイナーとか創造的・独創的な仕事の人はMacが多いのかなと思ってたのですが、発表者の一人がパソコンの計算の速さを実演するために、おもむろにコマンドラインからEmacs→Fortranのコンパイル→実行するのをみて、ああそういう理由でMacというのもあるのかなと。Windowsでもできないわけじゃないけど純粋な計算作業ならUNIXの方がやりやすいし、LinuxでもOpenOfficeがあるけどMacのプレゼンテーションほど洗練されてなさそうだし。

— posted by mu at 10:12 pm   commentComment [0]  pingTrackBack [0]

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